
建築部課長
賀川 博之
HIROYUKI KAGAWA
PROJECT STORY
PROJECT / 01
想定外の課題を乗り越えながら無事に工事を終えられ、
振り返ると得たものも大きかった本プロジェクト。
その中心メンバーとして活躍した社員2名に、当時のことを振り返っていただきます。
建築部課長
賀川 博之
HIROYUKI KAGAWA
建築部
浅井 康輝
YASUKI ASAI
賀川:堺市より整備事業者に選定されスタートしたプロジェクトです。施設開設の工期がタイトなのに加えて、なにより難しかったのはその現場環境でした。建物の建築が予定されていた場所は雑木林。山林と雑種地を造成して工事を進める必要があって、さらに土地の形状的に資材搬入のルートも限られていたんです。初期段階の予定では住宅地をダンプやミキサー車などの工事車両が常時通行することになり、近隣住民の方からの苦情やその対策も避けては通れないと覚悟していました。
浅井:本当にすごい場所でしたよね。私がこれまで経験してきた工事は更地に新築で建築するものが多かったので、はじめはびっくりしました。本当にこんな場所に建てるの?って。山林も荒れた状態で、どこを切り崩して入り口を確保するんだろう?隣地との境界線はどこなんだろう?と、これまでの経験が通用しない案件だと感じました。
賀川:荒れ果てていたしね。それで、まずは隣地の土地所有者や地域の方々との交渉からスタートすることに。計画では建築基準法上の地下にあたる部分が唯一の資材取込スペースだったので、そこにいかにスムーズに進入路を設けるかが課題でした。ちょうど隣地のひとつが我々と同じく堺市で古くから土木業をされている会社様の所有地だったこともあり、その土地を借地させていただき、仮設進入路を設けさせていただけることになったのは助かったね。
浅井:おかげで、懸念していた搬入経路の確保と、近隣への対応がクリアできたのは大きかったですね。隣地企業様にご協力いただいたり、同業種の企業様とも友好的に仕事を進めるのは、堺土建らしい企業姿勢だと思いました。
賀川:それは、創業から約100年、堺の地に根差して建築業を行なってきた実績と信頼があるからこそだと思う。関連する企業様はもちろん、地域の方々との連携も重要になってくるのが建築工事。その意味では、今回のプロジェクトでも自治体の方々のご好意に助けられました。工事車両を駐車させていただいたり、レッカー車の搬入経路として利用させていただいたりと、伏尾地域会館様には本当にお世話になりました。
浅井:工事環境に合わせた建築進行です。一般的に建築は、基礎をつくって、柱を立てて、屋根をかけて…と下から進めていくものですが、メインの搬入経路がひとつしかないこともあって、建物全体を従来通りに建築していくと、どうしても資材などの搬入出が難しくなってしまう。そこで今回に限っては、賀川所長のアドバイスをもとに搬入口から遠い奥のエリアから順番に進めていく計画を立てました。私がこれまで携わってきた案件は、狭小地の木造建築やマンション建築がほとんどだったので、はじめての進め方でいろいろ苦心したのをよく覚えています。
賀川:大型の施設になってくると、通り一辺倒にいかないケースも多いからね。他にも思うように進まないことばかりで…急遽必要になって土留めを施工したり。大阪府の許可申請等も行なう必要があったので骨が折れましたね。
浅井:やっぱり着工してプロジェクトが進んでいくことで、見えてくる課題もあるんだなと勉強になりました。その逆で、状況に柔軟に対応することで、当初計画より上手くいくこともあります。クレーンの基礎なんてまさにそのケースですよね。
賀川:そうだね。今回の工事では揚重手段として作業半径30mのタワークレーンを選定していたんですが、都合よく将来的に受水槽を設置する位置にクレーンの基礎を設けられそうだと設計段階の案として検討していました。それで、実際に現場を見て大丈夫そうだったので基礎を設置。結果的に、クレーンの基礎をそのまま受水槽の地盤強度確保に活用できたので、工数短縮にもなったし、撤去コストも減らせたので、我ながらファインプレーだったなと思います。
浅井:地下部分の施工もそのひとつですね。設計段階では、建物の地下部分の駆体と地山が接する部分に透水層を設ける予定だったんですが、いざ現場で施工をしようとなると狭所作業を余儀なくされ、手間と時間がかかることがわかりました。代わりに、土留壁に直接防水層と透水マットを施工する片押し型枠工法を採用することで、工期とコストを圧縮できました。
浅井:やっぱり、協力体制が築けたことじゃないでしょうか。先程話に出てきた土木業の企業様のほかにも、今回のプロジェクトを通してご縁をいただいた企業様があるんです。
賀川:タワークレーンの解体の際に、北側の隣地だった企業様にお声がけさせていただき、レッカー車を入れて解体を行いました。いろいろとお話をさせていただくなかで、その企業様が事業のひとつとして工具の卸売をされていることがわかったんです。そこで、弊社も一部費用を負担する形で、今回の工事に協力いただいていた職人の方々に向けた工具販売の斡旋をさせていただきました。
浅井:友好な関係を築けていたからこそ、レッカー車搬入の際も土地を無償でお貸しいただけました。先方の企業様も販売先が増え、職人の方々にも比較的安価に工具をご購入いただけ、私どもとしても工事進行の際にご協力いただける。関係者全員にとってメリットのある組み方ができたのは、良かったなと思います。
賀川:さっきも話に出たけれど、建築のプロジェクトは自分たちだけでは完結できないもの。だからこそ、関わる企業や人々と良い関係を築く姿勢でいることが大切ですし、それが堺土建らしい仕事の取り組み方だなと感じています。その企業様とは工事完了後もお取引を継続しています。
浅井:あと、プロジェクト管理の面でいうと、大人数で進める際の意思疎通や情報共有に関しては、今回とても勉強になりました。最終的に常駐する現場監督が最大7名体制で進行していましたが、情報の伝達漏れがないように方々にアンテナを張って話を聞くこと、伝えることの大切さを実感しました。
賀川:毎日ものすごい数のトラックが入るし、業者数もとても多かったけれど、搬入経路がひとつしかないので、どうしてもバッティングが起こってしまう現場だったからね。ANDPADなどのデジタルツールを活用して逐一計画を共有することはもちろん、各現場監督が毎日担当業者と綿密に打ち合わせしたうえで、管理チーム内での調整が求められる。
浅井:そうですね。大規模な現場ならではの難しさがある一方で、抜け漏れなく計画通りに仕事が進んでいく達成感を、身をもって感じるプロジェクトでした。
浅井:建築の仕事に携わってそろそろ10年ですが、自分にはまだまだ経験値が足りないなと思いました。今回の建物は、1階部分のエントランスロビーに特殊なデザイン設計が取り入れられていました。とても意匠性の高いデザインだったのですが、自分がこれまで取り扱ったことのない部材も多くて、最終的な納まりがとても難しかったのが印象的です。
良し悪しは別にして、デザインを重視することで、使い勝手や実用性が損なわれてしまうケースが建築現場ではたまに起こります。そんな時に、ただ設計通りに進めるのではなくて、利用者様のことを考えたより良い建物ができるように、私の方からも提案できるようになりたい。現場管理の能力はもちろん、実務経験を積んで幅広い知識をもっと身につけていきたいと思います。
賀川:現場所長としても良いモデルケースになりました。工期がタイトだったこともあり、今回のプロジェクトでは朝と夜の2チームを編成して工事を進めていました。働き方改革が求められる現代、建築の現場でもひと昔前のような根性論は通用しません。人数も時間も、時代に合わせて環境を整備していくことも所長の責任だと再認識しました。
また、ひと言に現場監督といっても、経験値もスキルも違います。大人数の現場の場合、ベテランから若手までそれぞれのキャリアを考慮したうえで的確な役割分担を行うことで、プロジェクトの円滑進行だけでなく、チーム力のアップや若手育成ができる環境づくりを目指していきたいと思います。とはいえ、私自身もまだまだ現場と同じ目線で、現場監督としても仕事に携わっていきたいと思います。
PROJECT / 02
大仙西エリア 有料老人ホーム棟
コミュニティ棟 新築工事
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